あ行か行さ行た行な行は行ま行や行/ら行/
スペースオペラ用語辞典/ら行

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ライトスタッフ[らいと・すたっふ](参考)

  1. Right-Stuff。トム・ウルフによるベストセラー・ノンフィクション「ライトスタッフ」のタイトル。本書以来、航空・SFファンの間では一般的用語となった。
    直訳すると「正しい資質」、意訳すれば「パイロットとしての正しい資質」といったところ。

  2. ところで、レンズマンたる「正しい資質」とは何であろう?
    「銀河パトロール隊」を読む限り「頑健な肉体+高水準の知性」が必要のようだが、更に(作中の)歴史的に遡って「ファースト・レンズマン」を読む限りではそうではないようだ。

    銀河パトロール隊や銀河評議会の中核がレンズマンによって構成されなければならない理由は、「腐敗する恐れのない官僚機構」が実現できるからである。ここでは「腐敗しない精神」が第一であって、レンズ着用者であることさえ(おそらくは)二義的なものである。実際には色々と素晴らしい機能が備わっているが、そもそもレンズとはこうした資格の持ち主足ることを証明するための偽造不可能なシンボルとして作られたのである。
    ここで言うところの「腐敗しない清冽な精神」とは、後天的には獲得不可能で種族としての進化に伴う獲得形質の一つであるらしく、種族によってはレンズマンを排出しえないものさえある。

    こうして考えると、肉体的には貧弱でパトロール隊の最前線で活躍することができない人物でも、正しい資質の持ち主であればレンズマンとして認められうるはずで、つまりレンズマンには「体育会系」と「文科会系」があるのだ。例えば、キムボール・キニスンは代表的「体育会系」だが、彼の妻と娘たちは「文科会系」タイプの代表である。

    レンズマンは壮大なストーリーだが、キムたちの活躍の裏には膨大な人数の「文科会系」レンズマンのバックアップが存在していたと考えられる。通常の軍隊では全体の半分程度の人数を「補給」に裂かねば軍隊として満足に機能しないと言われているので、銀河パトロール隊においてもレンズマンの二人に一人は「文科会系」タイプと考えられる。

ラジウム電球[らじうむ・でんきゅう](火星シリーズ)

  1. ラジウムの粉末が混ざった特殊な発光剤を封入した電球で、電力を供給しなくとも半永久的に発光する。消耗する部分がほとんどないこともあり、千年以上にも及ぶバルスーム人の寿命に比しても十分以上に長持ちし、ほとんど交換の必要がない。

    ただし、発光原理から考えて発光色を自在に決めるのは困難と思われる。また、任意に消灯させるのも困難だから部屋の明かりとしても不向きである。非常灯か街灯には好適であろう。
    (実際に原作を読んでも、一種の非常灯のように使用されているようである。)

  2. さて良いことづくめのようにも思えるが、ほとんど交換の必要がないということは新規需要が0に近いと言うことである。こんなものを販売するのはメーカーとしては自殺行為とも言えるが、おそらくは商業ベースの生産ではなく、王室御用達の工房で一つ一つ手作りされているのであろう。

  3. ラジウム仕掛けの電球なんて危険きわまりない代物の筈だ...という意見も当然あろうが、それでも立派に使い道はあって、即ち「トラップ」として使用すれば良いのである。

    暗い通路に迷い込んだ時に明かりが目に入れば、本能的に明るい方へ引き寄せられるのは生き物としては当然である。よほど熟練した侵入者以外は、まずまちがいなく引っかかると思ってよい。
    しかもこのトラップの恐ろしいところは、一見したところ罠には見えず---当面の自覚症状がなく、しかし確実に生命を虫食んでいくというところであろう。
    罠の維持コストはタダ同然であるし、効果を高めたい時は通路をうねうね曲げて通路長を長くするだけで良い。

    深く進んで行くだけで侵入者の体力はジワジワと低下し、これに気付いた時にはもう手後れとなり、ねずみに体当たりされただけでクリティカルヒット!というからくりである。


ラジオドラマ版スターウォーズ[らじお・どらま・すたーうぉーず](スターウォーズ)

    最初のスターウォーズ(Episode-4:the New Hope)が最初の公開された年に放送された。

    キャストは以下の如しで、ほぼベストキャストと言える人選だった。

    ルーク・スカイウォーカ:神谷明
    オビワン・ケノービ:納谷吾郎
    ハン・ソロ:羽佐間道夫
    レイア姫:幡恵子
    C3PO:野沢那智
    帝国軍司令(名前?):山田康夫
    ダースベーダ:忘れちゃった…

ラダイト[らだいと](キャプテンフューチャー・シリーズ)

  1. 「透明惑星危機一髪!」に登場する放射性物質の一つで、粉末状の場合は青く見える。サイクロトロンの燃料として使用するともっとも高出力が得られることで知られており、天王星でしか産出しない。
    高速で航行する必要のある宇宙船には、特別にラダイト燃料が使用されるようである。

  2. サイクロトロンに使用される燃料としては、高出力な順番に以下の物質が使用できることになる。
     (1)ラダイト :最も高出力だが、恐らくは最も希有で高価な燃料。
              安定剤が必要かどうかは不明。
     (2)銅    :最もポピュラーだが、運転には安定剤(カルシウム)が不可欠。
     (3)鉄    :安価で安定剤も不要だが、低出力。


ランドマーク星雲[らんどまーく・せいうん](グレーレンズマンほか)

  1. ボスコーンの本拠が置かれている第二銀河系の学術名称と思われる。たぶん架空の銀河だと思われるが、ちょっと確信がありません。
    原作中ほとんどの場合は単に「第二銀河系」と呼ばれているようで、また「第二段階レンズマン」以降のキニスンの肩書も「第二銀河系執政官」であることから、パトロール隊における正式名称は「第二銀河系」であると思われる。

  2. 当の「ランドマーク星雲」内部においても伝統的な固有名詞が有ったはずである(現地の言語で「銀河系」を表す語であろうと推測される)にも関わらず、自分達の銀河系を基準にして「第二」と命名するなど、「日本海側の地方」を「裏日本」と呼ぶ蛮行にも等しく(筆者は山陰出身である!)、「銀河系中華思想」というか「銀河系中心主義」というかまったくけしからん話である。
    GHQでもあるまいし、銀河パトロール隊の統治とやらも現地の伝統や事情を考えているようで考えてないようである。ボスコーン掃討後しばらくは統治に苦労しないであろうが、この調子では銀河文明の将来が非常に非常ーに心配である。


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力帯域[りきたいいき](スカイラーク3号)

  1. "Zone-of-Force"の訳語。

  2. エーテルを凝縮させ一種のバリアを形成させたもので、“各種電磁波”“重力”はもちろん、6次より次数の低い光線(フォース)では透過できない。このため、一種の“万能バリア”として使われる。
    ラリー・ニーブンの作品に登場する“停滞力場(ステイシス・フィールド)”は、この“力帯域”の現代版とも言える。

リベット[りべっと](参考)

  1. 金属鋲のこと。
    比較的薄い金属板を接合する時に使用する金具で、2枚の金属板を貫通するように取りつけた後、裏・表をかしめて固定する。溶接と違って熱による変形がなく、簡単確実であることから現在でも広く使用されている。
    また材料によっては溶接が不可能な場合も少なくないが、こんな場合はボルトかリベットで固定するしかない。(戦艦の装甲板はボルト止めである)

  2. リベットの歴史は長いためクラシックな印象が有り、ハイテクなイメージを出したいSFメカには敬遠されがちである。

    コメットのような小型宇宙艇の場合は、むしろ表面にリベットが有る方がリアル(モダン)になるような気もするが、どうでしょう??


リューイストン式光線銃[りゅーいすとん・しき・こうせん・じゅう](ファーストレンズマンなど)

  1. 銀河パトロール隊の初期正式装備の一つ。形状他は良く分からないがポピュラーな武器らしい。
    ちょっとした宇宙服を着ているだけで効果を失う程度の威力しかなかったため、やがて「デラメータ」に変更された。

  2. 「ルーイストン式光線銃」と表記されている場合もあるようだ。

リレー[りれー](参考)

  1. 通電すると回路(スイッチ)が開閉するという機能のある電気部品。和名は「継電器」である。

    単純な開閉の他に、メモリ機能のあるラッチングリレーもあり、アナログ的な演算回路と組み合わせて論理回路が構成できるため、ごく初期のコンピュータに使用された。
    旧来からの機械的構造のものだけでなく、半導体で実現されたリレーも現在ではよく使用されている.

  2. 真空管と並んで、クラシック宇宙活劇で各種ハイテク機器の主力パーツとして用いられる。

    宇宙活劇の世界ではリレーの接点も超光速で動作可能(無慣性リレーという訳ですな...)であろうから、過去へ向かって演算結果を出力できる(問題を入力する前に答えが得られる)可能性すら開けており、そんじょそこいらのスーパーコンピュータなんぞでは相手にすらならない性能が期待できる。


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涙滴形[るいてき・がた](参考)

  1. 涙のしずくのように、先端が丸っこい錐状で尻尾が引き伸ばされた形状。ティアドロップとも言う。流体の抵抗が最も小さい形状といわれている。現代の潜水艦も当然のことながら涙滴形状を採用している。

  2. キャプテン・フューチャーの愛機コメット号や、レンズマン・シリーズにおける銀河パトロール隊の戦艦の形状として知られている。ただし後者の方は「尖った方が先端」であり、通常言うところの涙滴形とは少々異なる。コメット号の形状は「前円後尖形」、レンズマン・シリーズのそれは「前尖後円形」の涙滴形と言っても良いだろう。

  3. ところで、超音速においては空気抵抗はそれまでの流体抵抗に変わって、圧縮抵抗の方が支配的になると言う。このような状態では強烈な「断熱圧縮による発熱」が発生するから、機体には非常な耐熱性能が要求される。特に尖った部分には圧縮が起きやすいようで、機体や翼の先端・エッジ部分には特殊な耐熱材料が必要とされる。

    さて、これをレンズマン・シリーズの宇宙船に対して無理矢理に当てはめると、超光速飛行中は「エーテルの圧縮抵抗」が支配的になるとも考えられ、先端の尖った形状では「エーテルの急激な圧縮による爆発的な発熱」が予想されるから、この点からも先端は尖っているよりもややダルな形状の方が適しているようにも思えるのだが??

  4. ファースト・レンズマンによれば「超光速宇宙船の形状として最適」とされる形状。最初のうち銀河パトロール隊の宇宙艦の船体形状が涙滴形でなかったためもあって、ボスコーンの宇宙艦に速度性能で文字とおり遅れをとっていたが、バーゲンホルム博士の助言などによりこの形状を採用し、ようやく同等の性能の艦を手にすることが出来たのだった。

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歴史心理学[れきし・しんり・がく](銀河帝国シリーズ)

  1. アイザック・アシモフの銀河帝国シリーズ(ファウンデーション・シリーズ)に登場する、一種の未来予測学。

  2. 個人一人一人の行動を予測することは不可能だが、数十億数百憶の集団ならば高度な心理学的データと統計的処理とにより可能である、とするもの。ファウンデーションの運営については、歴史心理学の予測結果からファウンデーション創立時に決定せれていた。あまりにも高度かつ膨大な内容のため、創始者のハリ・セルダン以外にはほとんど使いこなせるものがない。

  3. レンズマンシリーズに登場するアリシア人のメンターの趣味(?)は「森羅万象の洞察」というやつである。こちらの方は歴史心理学よりも更に高度・精密で、一人の人間の特定の日の行動に至るまでもれなく予想することが出来る(ことを理想とする)。これぐらいのことは朝飯前でなくては、エッドール人に対抗することなどかなわぬ夢というものである。

歴史の復元力[れきし・の・ふくげん・りょく](参考)

  1. 「たとえ何者かの介入があっても、歴史にはそれ自体ある種の復元力があり、ある程度長い目で見ると結局は元々の流れに戻っていく。」というアイデア。高木彬光氏の「連合艦隊ついに勝つ」などのように、近年の架空戦記ブームの前に書かれた作品においては、基幹アイデアとなっていたことが多かった。

  2. 「TPぼん」「どらえもん」などの藤子不二雄作品の多くに共通する背景アイデアでもある。

  3. 英国海軍による「ビスマルク追撃戦」が発生しなかった代りに、日本海軍による「フリードリッヒ・デア・グロッセ追撃戦」が起き、日本海軍による「レイテ湾突入作戦」が起きなかった代りにドイツ高海々軍による「北の暴風作戦」が実施され、日本海軍による「真珠湾奇襲作戦」が起きなかった代りに米海軍による「横須賀軍港奇襲作戦」が実施される…といったようなこと。

    あ、これはちょっと違うか!

レッドバロン[れっど・ばろん](参考)

  1. 第一次大戦におけるドイツ帝国空軍のエース「リヒトフォーフェン大尉」の通称。自身が男爵であったことに加えて、愛機の複葉機を赤く塗装していたためこのように呼ばれることとなった.。当時の慣例として、彼が指揮する中隊の全機が胴体を赤く塗っていたそうであるから、編隊を組んで行く様はさぞかし見事であっただろう。

    10機撃墜すればエース(撃墜王)と呼ばれた時代に80機あまりを叩き落としたというから、正しく「戦闘機に乗るために生まれてきたような男」だったと言っても良いであろう。

    リヒトフォーフェンはドイツ空軍の象徴的な存在となり、国内では戦争プロパガンダのために彼を主人公にした映画が作られるほどのヒーローであった。敵国の英仏では、全く異例のことながら彼の首に賞金を懸けたというが、これもまた別の意味で彼をヒーローと認めていたことにはなるまいか。

  2. 「ジオン公国の赤い彗星」の元イメージとしても、あまりにも有名である。


レンズの子ら[れんず・の・こら](レンズの子ら)

  1. レンズマン・シリーズ第4作。
    キムボール・キニスンとクラリッサ・マクドゥガルとの間に生まれた子供たちは生まれながらに第二段階レンズマンをも凌ぐ「第三段階レンズマン」であり、「レンズの子ら」とでも呼ぶべき「超人類種族」であった。それどころか彼らは事実上アリシア人と同等であり、潜在力を含めればそれ以上の能力の持ち主なのだ。
    今やアリシア人の計画はすべてが完了し、遂にエッドール人と銀河パトロール隊との最後の決戦が迫る...はたしてその結末は?

  2. スミス流「幼年期の終わり」とでも言える結末。
    しかしながら、クラークのそれに比べて何と優しさと希望に満ちていることよ!


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六肢人[ろく・し・じん](火星航路SOS)

  1. 火星航路SOS全編を通じての悪役で、実は木星人の一種。
    腕と足が各1対、腕にも足にも使える中間肢が1対の計6肢であることから六肢人と呼ばれるが、正式な名称は不明である。目も3個であるなど、肉体的にも精神的にも人類とは起源が異なる非ヒューマノイド異星人。

    地球人類とは別に木星のガリレオ4衛星に平行発生した人類(細かいところの進化は異なるが、基本的には人類形の宇宙人...という意味に考えて下さい)と百世代にわたって総力戦を繰り広げてきた。
    少なくとも戦争の技術においては優越しており、ガリレオ4衛星の人類を圧倒しつつある。

    ガニメデ上には、ここの人類文明を滅ぼした後退化して原始化してしまった六肢人がいるが、戦争に勝った後は目的を失ってしまたのだろうか? 本来「戦争は外交の一手段に過ぎない」筈なのだが、六肢人にとっては戦争と侵略が直接目的なのかもしれない。なかなか「悪の異星人」ぶりが徹底していて潔い(!?)ではないか!!

  2. 同じく木星の住人であるヴォークル人とも犬猿の仲で、要するにそこいらじゅうで敵を作っては戦争しているようである。自分以外の種族とは全然共存できない融通の利かない点も「ピュアな悪役」として好感触である。

    火星航路SOSのクライマックスでヴォークル人艦隊の大反撃を食らってしまい、木星本星上の六肢人基地はほぼ壊滅してしまったようだが....さて。

  3. エッドール人などのような「筋金も由緒も通った」悪役ではなく、「ひたすら人類の掃討に精を出す」芯から悪逆な種族という、比較的単純な扱いである。


ロゼッタ・ストーン[ろぜった・すとーん](参考)

  1. 1798年7月、ナポレオンのエジプト遠征時にナイル河口のロゼッタ村で発見された「1140*720*280,762kg」の玄武岩の石板。

    ロゼッタストーンには上から「エジプト古代象形文字」「簡易象形文字」「ギリシャ文字」の順に文字が刻まれており、それはどれも同じ内容を記述した物であったため、「エジプト象形文字」の解読の決定的な手がかりとなった。

    また「翻訳の重要な手がかり」を指す一種の代名詞としても用いられる。

  2. ハミルトンの「虚空の遺産」など、異星人の記録を解読してオーバテクノロジを手に入れるといった話は多い。しかし、まじめに考えれば考えるほど、ロゼッタ・ストーンのような物がない限りは不可能のように思える。 それどこらか、サム・ディレーニィの「バベル17」においても言及されているように、語とは思考(思想)を記述する物であり、メンタリティの異なる異星人の場合は言語構造からして全然違う可能性が高い。このような場合は実物のロゼッタ・ストーンのような叙事詩的な内容では「伝わるものも伝わらない」であろう。

  3. それでは異星人へ記録を残すのは無意味なのかと言うと、もちろんそうではなく、イワン・エフレーモフ作の「宇宙翔けるもの(あまかけるもの)」においては「原子構造の図解」のような宇宙に普遍的な情報の交換から始まって徐々に複雑な概念の伝達を試みるというシーンが出てくる。

    また「もし星が神ならば(byベンフォード&エクランド)」では、外宇宙からビット列で簡単なグラフィックデータ(ビットの総数が素数の積で表される数なので2次元配列の画として再現される)が送られて来、数光年をへだてたコミュニケーションの始まりとなる。

    最初のうちは文字の解読や交換は絶望的だが画像の交換なら可能性があるということで、ボイジャーに人類の男女の姿や太陽系の模式図などを刻んだ金属プレートが積んであるのは有名な話である。 惑星探査機みたいに大金の掛かったものにも、こういう遊び心みたいなものも積んでしまうあたり、アメリカって国は凄いところだよなあ。

    「宇宙翔けるもの」のコンタクト・シーンでは、今ならば「即席CG」とでも呼びそうな自由自在な画像表示が登場するが、将来外宇宙へ有人宇宙船が出て行くようなことがあれば、当然そのような用途に使えるディスプレイターミナルの一つや二つは積んでいるだろう。
    同時に参考書として「宇宙翔けるもの」や「最初の接触」をぜひ積んでおいて欲しいものである。


ロッシュの限界[ろっしゅ・の・げんかい](参考)

  1. 大小二つの天体があったとして、互いの距離がある程度より接近した場合、大きい方の天体の及ぼす潮汐力により(潮汐力の方が小さい天体の表面重力を上回ることにより)小さい天体がバラバラに引き裂かれてしまう。この距離が「ロッシュの限界」と呼ばれるもので、大雑把に言えば、大きい方の天体の直径の約2.5倍である。

  2. 当然のことながら、地球と月,木星とその衛星群などは何れもロッシュ限界以上離れており、他にも太陽系中でロッシュ限界よりも接近している関係の天体はない。また土星の「輪」部分はロッシュ限界の内部を公転しており、これが「輪」を構成する塵がバラバラで一個の天体(衛星)として凝集できないことの説明である。

  3. 「宇宙のスカイラーク」作中でスカイラーク号が巨大な天体の脇を摺り抜けた時、「ロッシュの限界ぎりぎりの距離だったよ。実に危ないところだった。」といった会話が交わされるが、ロッシュ限界というやつは小さい方の天体を構成する材料が自身の重力のみでくっついている場合に適用されるし、そもそも潮汐力というやつは通常はある程度大きさのあるものに対してしか働かないので、スカイラーク号のように小さくて頑丈な構造の物体の場合全く心配する必要はないのだった。

  4. 大体がスカイラーク号の船体を引き裂く程の潮汐力が作用する位であればもっと早くに内部の人間がバーラバラになっちゃう筈で、かといってシートンがこのような初歩的な間違いをするとも考えにくく、まともに受け取ると理解に苦しむ部分である。まあおそらくは、同乗していたクレインをちょっと脅かしてやろうとしてわざと慌てた振りをしたのであろう。

  5. ところでガミ○スとイス○ンダルの場合、TVを見る限りロッシュの限界距離に入っているとしか思えない。地殻変動も、おそらくは隣星の潮汐力によって地殻内部をもみ砕かれた結果であろう。

ローダンの日[ろーだん・の・ひ](参考)

  1. SFマガジン増刊「宇宙英雄ローダンの世界」(ペリー・ローダン200巻突破を記念して発行された)に掲載の「栗本薫・鏡明対談」によると、鏡明氏はローダン・シリーズを全巻読破している(当時)そうである。
    それによれば、ローダンを読みつづけるコツは「たまにローダンの日というのを作って、一気に溜まっていた巻数を読んでしまう」ことだそうである。

ロードブッシュ&クリーブランド機関[ろーどぶっしゅ・くりーぶらんど・きかん](ファーストレンズマン)

  1. バーゲンホルム機関の原形となった試作無慣性航行エンジン。開発者の名前をとってこう呼ばれる。

  2. 本エンジンは危険極まりない代物であり実用化が危ぶまれていたが、ネルス・バーゲンホルム博士により実用化に成功した。このため実用化モデルを指して“バーゲンホルム機関”と呼ばれている。

ロール軸[ろーる・じく](参考)

  1. 一般的には機体の進行方向に一致する軸。これを軸にして回転すると転がる(ローリング)方向に姿勢が変化するのでこう呼ばれている。

  2. ところで、文庫本の図解を見る限り、コメット号にはロール軸制御用の噴射管がないようである。いったいこれはどういうことなのだろう?。このままでは何かのきっかけできりもみ状態になったが最後、抜け出す方法が無いことになる。ちょいとした横風や宇宙航路上の浮遊隕石など、飛行中に姿勢を変化させうる障害(外乱)はいくらでも考えられるから、本当にロール軸制御が利かないとすればコメットの操縦特性は劣悪を越えて凶悪というほかはないのだが、天下のフューチャーメンがこんな初歩的な設計不良を犯すだろうか?
    実際、コメットが離床するやいなや横転墜落というシーンは皆無である(盗まれた場合にさえきちんと離床している)ので、やはり何らかの対策が取られていると考えるべきだ。

  3. 私見によれば、回答は2つ考えられる。要するに側面噴射管の推力軸と機体重心をずらしてやれば良いのであるから、重心の方を動かすかさもなくば推力軸の方を動かすかである。
    前者の場合は、機体にバラストを搭載しておいてこれを適時動かせば良い。かと言ってむやみに重りを積み込んでもデッドウェイトが増すだけである。それではどうするかと言うと、乗員が船内で姿勢を変えれば良いのである。幸いにして、コメットにはグラッグという“重り”が乗っていることが多いので、大抵はこいつに右往左往してもらえればOKである。この場合、コメットの操縦の度に以下の様な光景が展開するであろう。

    「いいかぁグラッグ!そぉれっ、きゅう・じょう・しょう!!」
    「アイアイ、キャプテン!」
    ドカドカドカドカドカ(グラッグが船尾へ向かって走る音)…ベリッ、ズボボッ!!
    「あの屑鉄野郎め!,またデッキの床を踏みぬきやがった!キャプテンやっぱりこりゃだめですぜ。」
    …という訳で、この方式は実用的とは言いがたいようである。

  4. さて2番目の方式は、すなわちベクタード・スラストを採用することである。この場合、コメットの水平噴射管と垂直噴射管のほとんどが推力軸可変機構を持つことになるであろう。これならばフューチャーメンの要求する高機動性を満足できそうである。 さてこう考えて文庫口絵の図解をよーく見ると、コメット胴体の噴射管取り付け付近は丸く盛り上がっており、いかにもこのような機構が内蔵されているかのようである。
    という訳で、コメットの側面噴射管にはベクタード・スラストが採用されている可能性が高いと思われる。


や行

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